〜日々の勉強報告〜@日本三景

地域医療に従事する新米医師たちの勉強報告のブログです。良医になれるよう奮闘していきます。ご指導お願いします。

2020-01-01から1年間の記事一覧

GCAに対する症状、所見、血液検査の診断精度

頭痛、scalp tendernessのような古典的なGCAの特徴は、GCAの尤度比と関係しなかった。 一つの症状、所見、検査結果ではGCAを診断することは困難で、それらを組み合わせることが重要である。 68のコホート研究のメタアナリシス(14000以上のGCA疑い症例) ・3…

3枝病変におけるFrank's sign BMJ case report

症例 高血圧症、糖尿病、脂質異常症のある78歳男性。11年前に心筋梗塞を来して、経過をフォローされていた。当時は、右冠動脈、左前下降枝、左回旋枝に植え込み型bare-metalステントが留置された。 10年前のフォローアップのアンギオグラフィーでは狭窄の程…

複雑型(単純型)憩室炎には抗菌薬治療は必要か?

急性、軽度、非複雑性憩室炎には抗菌薬治療はプラセボと同程度の効果である。 ・急性非複雑性憩室炎患者に抗菌薬治療をすることは、低レベルのエビデンスに基づいている。2つの対照試験では、抗菌薬による予後の改善を示されていない(NEJM JW Gen Med Sep 1…

陶器様胆嚢 NEJM image

先週のNEJM imageに掲載されていた陶器様胆嚢に関して少し掘り下げて調べてみました。 前回に引き続き、日本の先生からの投稿です。 陶器様胆嚢は稀な疾患で、日本の医師国家試験でも「胆嚢癌のリスク」ということでしか出題されないように思います。 症例 8…

 ST合剤による麻疹様皮疹

BMJ case reportで日本の先生からの報告です! 私も、ST合剤による皮疹は経験したことがあります。皮疹の分け方?表現方法?に対して自信がなく、粘膜診の有無をチェックする程度に留まっています。 これを契機に薬疹の理解を深めたいな..... 〈ST合剤と皮疹…

オプソクローヌス-ミオクローヌス症候群

症例 高血圧とアルコール使用障害の71歳男性。 3ヵ月間のめまい,複視,運動失調で当院に来院した. 神経診察では運動失調、構音障害、動作時振戦、下肢近位筋のミオクローヌスを認めた。 急速、非規則的、動揺性、多方向の眼球運動が認められ、オプソクロー…

薬物性肝障害 NEJM 総説

〈基本知識〉 ・薬物性肝障害(Drug-induced liver injury)は診断と治療が難しい。 ・発生率:14-19症例/ 100,000人 ・薬物性肝障害の診断は、他疾患の除外が基本であるため、時として困難である。 ・診断のポイントは4つ! ① latency:被疑薬の投与時期 ②…

舌側縁部の白斑の鑑別

〈症例:NEJM Image Challenge June 18, 2020〉 26歳、男性。2ヶ月前からの筋痙攣、体重減少、不快感を伴う味覚変化を訴えて救急外来に来院した。身体所見では、舌の側面に白く、鋭く区切られ、付着しているプラークが認められた。 診断は? A, 口腔毛状白板…

t-PA関連の口舌血管性浮腫

〈症例〉 NEJM Image Challenge June 11. 2020 来院90分前に発症した左半身脱力で救急外来を受診した78歳男性。右中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、治療が開始された。 数分後の診察で患者の舌の変化を認められた。最も適切な診断はどれか? 1, t-PA関連血…

心疾患の既往のない孤立性低HDLコレステロールを認める若年男性の初期介入

NEJM Knowledge+ 2020.5.13 特記すべき既往のない28歳男性。 コレステロール値の相談で来院。 結婚しているが子供はいない。喫煙なし、飲酒は適量(7 alcohol beverages/week)、違法薬物使用なし。 週末は妻と散歩しているが、それ以外は座っていることが多…

NEJM Knowledge+ April 28, 2020 Charcot関節の症例プレゼンテーション

NEJM Knowledge+ April 28, 2020 〈Question〉 45歳女性。3週前から左足背の発赤と腫脹が出現。体重負荷による違和感を伴う。 既往歴: ・病的肥満 ・甲状腺機能低下症 ・10年前からのインスリン治療中の2型糖尿病、網膜症と末梢神経障害を合併している 発…

市中発症敗血症のうち耐性菌はどの程度いるか? JAMA Network Open

Prevalence of Antibiotic-Resistant Pathogens in Culture-Proven Sepsis and Outcomes Associated With Inadequate and Broad-Spectrum Empiric Antibiotic Use JAMA Netw Open. 2020;3(4):e202899. doi:10.1001/jamanetworkopen.2020.2899 〈知られている…

DKA/HHSの診断と治療

〈疫学〉 ・好発年齢 DKA:18-44歳(56%)、45-65歳(24%)、20歳未満(18%) ・死亡率 成人のDKA:1%未満 *高齢者や重篤な状態にある患者では死亡率5%以上 HHS:5-20%(DKAに比して死亡率が高い) 〈DKAの病態〉 ・極度のインスリン欠乏とインスリン拮抗ホ…

Cowden病

(N Engl J Med 2020; 382:e29より)・皮膚、粘膜(頬部、小腸、結腸など)、乳房、甲状腺にみられる多発性過誤腫病変 ・常染色体優性遺伝 ・2/3に甲状腺機能異常を認められ、多結節性甲状腺腫か良性甲状腺腫であることがほとんどである。10%未満に甲状腺濾…

胸水所見の鑑別診断ポイント

*胸水pH≦7.2 ・膿胸性肺炎随伴性胸水 ・食道破裂 ・リウマチ性胸膜炎 ・結核性胸膜炎 ・がん性胸膜炎 ・血性胸膜炎 ・全身性アシドーシス ・肺吸虫症 ・ループス胸膜炎 *胸水好酸球増加:血性胸水、肺吸虫症 *胸水アミラーゼ上昇:膵炎、食道破裂 *胸水T…

超急性期脳卒中の診断

〈Stroke mimics〉 ・脳卒中と思われて搬送された患者の23-29%は脳卒中以外の疾患であったという報告がある。 (Stroke. 2003;34:71–76) ・Stroke mimickerのリスクファクターとしては、 若年者、NIHSS低値、認知機能障害の既往、身体所見上で神経学的異常…

ブログ開設にあたって

本ブログは、地域医療に従事し始めた医師による日々の勉強報告です。 都市部と比べると、検査も治療もできることは限られてきますが、 不安を抱えながら医療機関を受診される患者様はどこも同じです。 都市部にいなくても確実に成長していけるように、勉強内…