ST合剤による麻疹様皮疹
BMJ case reportで日本の先生からの報告です!
私も、ST合剤による皮疹は経験したことがあります。皮疹の分け方?表現方法?に対して自信がなく、粘膜診の有無をチェックする程度に留まっています。
これを契機に薬疹の理解を深めたいな.....
〈ST合剤と皮疹〉
・主に尿路感染症で使用される抗菌薬である。他にはPneumocystis jirovecii、Toxoplasma gondii、Stenotrophomonas maltophilia、community-associated MRSAによる感染症で使用される。
・副作用として、皮疹をきたすことがよく知られている。
・皮疹には、単純な発疹、固定薬疹、好酸球増多・全身症状・Stevens-Johnson症候群のような皮疹が含まれる。
〈症例〉
19歳の日本人女性。発熱と皮疹。
1週前に発熱、腰背部痛、尿症状(尿路感染症と合致する症状)に対して, trimethoprim-sulfamethoxazole 160mg/800mg 1日2回 計7日間の治療を開始された。
1週間服用後にびまん性の丘疹性、紅斑性発疹をきたした。
身体所見:T 38.4。びまん性紅斑は顔面・頸部・体幹・上肢・下肢にかけて認められた。粘膜診は認められなかった。
血液検査:好酸球増加なし。肝機能・腎機能は正常範囲。
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経過:
ST合剤は中止された。
2日目、解熱し、びまん性の紅斑は改善を示した。
麻疹・風疹 IgM抗体は陰性であった。
7日目には紅斑は色素沈着を残さず、消退した。
診断:
ST合剤による麻疹様薬疹(morbilliform drug eruptions caused by trimethoprim–sulfamethoxazole)
〈麻疹様薬疹 morbilliform drug eruptions〉
・麻疹様薬疹は薬物の副作用で最も多く認められ、薬疹の95%をしめる。
・麻疹様薬疹の特徴:びまん性、対称性の紅色斑状丘疹
・名前の由来通り、麻疹・風疹の皮疹とよく間違われる。
・麻疹様薬疹は原因薬物服用後、4-21日後に出現する。
→ 薬物投与後の時間経過が薬疹とウイルス性発疹との鑑別に重要である。
・麻疹様薬疹は、薬物中止後2日以内に改善し始め、1週間後には消退する。
→薬物中止後の改善もまた、原因薬物の同定の一助となる。
・麻疹様薬物に随伴する症状としては、そう痒感(88%)、発熱がある。
・発熱は麻疹様薬疹(15%)よりもウイルス性発疹(91%)で多く認められた。