〜日々の勉強報告〜@日本三景

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超急性期脳卒中の診断

〈Stroke mimics〉
脳卒中と思われて搬送された患者の23-29%は脳卒中以外の疾患であったという報告がある。
  (Stroke. 2003;34:71–76
・Stroke mimickerのリスクファクターとしては、
若年者、NIHSS低値、認知機能障害の既往、身体所見上で神経学的異常を指摘できない
が報告されている。
・mimickerと鑑別ポイント
Am Fam Physician. 2015 Apr 15;91(8):528-536.
 
脳梗塞の分類〉
・病理学的分類を行うことは治療方針の決定の観点から必須である。
脳卒中87%がアテローム血栓性、心原性、ラクナ、その他に分類による脳梗塞に分類され、残りの13%が脳出血かSAHである。
 
〈Risk factor〉
・年齢、家族歴、糖尿病、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群高血圧、心房細動、症候性頸動脈疾患、鎌状赤血球症
清涼飲料水の常飲であったり、魚類、野菜類、果物類の低摂食もリスクファクターである。
・女性であれば、経口避妊薬の使用も軽度のリスクファクターとなる。
 
〈診断〉
・プリマリケア医は病歴と身体診察だけ92%の感度で脳卒中TIAを診断できたという報告がある。
・典型的な病歴は起床時や急性発症の症状で、所見としては片麻痺と構音障害が典型的である。
・最も重症な病歴は発症時間である。→tPAの適応時間の決定
NIHSSを取れることは極めて重要である。
→適切なtPA使用、Stroke mimickerとの鑑別、予後推定にも使用可能である。
 
脳梗塞の典型的な症状
Am Fam Physician. 2015 Apr 15;91(8):528-536.
 
〈後方循環系脳卒中、めまいの鑑別の観点から〉
 
・主訴が「めまい」で救急外来あるいは一般外来を受診した44歳以上の成人を対象とした研究では、めまいのみの症状の患者のうち、わずか0.7%のみが脳卒中TIAであったしている。しかし、初診ではその内44%が見逃されている
 Stroke. 2006 Oct;37(10):2484-7. Epub 2006 Aug 31.
脳卒中による急性重度めまい症の2/3が、明らかな神経学的所見を伴っていなかったとする報告もある。
CMAJ June 14, 2011 183 (9) E571-E592
・Bed sideでは、めまい患者の脳卒中の除外においてHINTsが有用である。
CMAJ June 14, 2011 183 (9) E571-E592
 
*AICA梗塞の除外は極めて難しく、Head impulse testのみの感度は62%。
HINTsに加えて、聴力の確認を行うHINTs+が有用とされる。
 
〈検査〉
・血液検査
血算、生化学(肝機能、腎機能、電解質、血糖)、凝固(TAT、D-dimer)
+抗リン脂質抗体(ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗β2GPI抗体)、凝固阻止因子(ATⅢ、プロテインC、プロテインS)の欠乏も確認
 
・頭部CT
▶︎Early CT sign(発症1-3 時間)
・hyperdense MCA sign(中大脳動脈水平部の高吸収)
レンズ核の不鮮明化
・島皮質の不明瞭化・直線化
・皮髄境界の不明瞭化
・脳溝の消失
 
・頭部MRI
DWIで高信号、ADC mapで低信号
 
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参考文献
Am Fam Physician. 2015 Apr 15;91(8):528-536.
CMAJ June 14, 2011, 183 (9) E571-E592